お問い合わせ

TEL: 042-665-5611

呼吸器内科インタビュー

INTERVIEW

呼吸器内科 診療科長

津島 健司

[専門領域]]呼吸器一般、びまん性肺疾患

病態が複雑な呼吸器疾患を、
地域の先生と連携して診る

東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科では、地域の先生が患者さんを紹介しやすくなるように、曜日ごとに専門に特化した外来を開設しています。喘息・COPD、肺悪性腫瘍、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群に対する外来のほか、呼吸器老年外来を設けました。津島健司教授は、呼吸器内科の疾患は病態などが分かりにくいケースが多いので、地域の先生と垣根なく交流し、互いにサポートし合える体制づくりを行いたいと語っています。

地域から頼っていただきやすい診療体制へ

2024年4月に八王子医療センター呼吸器内科の診療科長に着任し、診療体制の強化に注力しております。まずは地域の先生方にご紹介いただきやすいよう、曜日ごとの専門外来にいたしました。喘息・COPD(慢性閉塞性肺疾患:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)、肺悪性腫瘍、間質性肺炎、睡眠時無呼吸症候群に対して、それぞれ別の曜日に外来の枠を設けています。このほか、呼吸器老年外来も開設しました。もちろん、専門性以外の呼吸器疾患に対しても毎日対応します。

健診で胸部異常陰影が見つかった場合、火曜日の胸部異常外来に紹介していただくと、同日にCTを撮り、肺がんとの鑑別を行い、肺がんの可能性が高いと判断すれば早急に呼吸器外科に紹介しています。また、診断確定が必要だと判断した場合には呼吸器内科で気管支鏡による精査を行います。
以前、肺がんはすべて呼吸器外科が担当していましたが、呼吸器内科でも肺がん診療を始めました。日本呼吸器学会呼吸器専門医が、肺悪性腫瘍外来と入院の両方で化学療法を担当しています。
また、呼吸器疾患がある高齢者の方は体が痩せるのが特徴です。痩せると体力が落ちて病気に勝てなくなるので、呼吸器老年外来では、呼吸器学会呼吸器専門医と日本老年医学会老年科専門医を持つ医師が、老年学の観点からも診ています。

さらに、紹介患者さんを受けやすくするため、新患の上限枠をなくし、時間内に来られた方は当日のうちに診察する体制にしました。受付を終了する11時までに来院された患者さんは、多少待ち時間は発生しますが、その日のうちに診療いたします。また、当科の入院患者数は、従来は10人以下の設定でしたが、20人にベッドの割り当てを変更していただき、入院患者さんの受け入れ体制も強化いたしました。

このような外来・入院体制の強化に伴い、その日の外来と入院の担当医師を分け、外来担当の医師は責任もって外来に来られる患者さんを診ることにし、入院担当はチームでサポートするように配置しています。外来の患者さんが緊急入院する場合にも、入院担当医師は機敏に入院受け入れをおこない、時間の空いている動きやすい医師に指示を出すことで、受け入れをスムーズに行うことができます。

間質性肺疾患、肺がん、COPDを3つの柱として診療

当科では、間質性肺炎、COPD、肺がんを3つの柱として診ています。私は特にびまん性肺疾患を専門としてきました。びまん性肺疾患は、画像診断で両側の肺に陰影がでる疾患を総称し、間質性肺炎やARDS(急性呼吸促迫症候群:Acute Respiratory Distress Syndrome)を含んでいます。私はARDSを長く専門としていて、ARDS診療ガイドライン2021にも参加しました。

間質性肺炎は肺が硬くなって息が吸えなくなる疾患です。画像では肺のあちこちに陰影がでてきます。息を吐けても吸いにくくなるので呼吸の回数が増え、呼吸困難感が強く出ます。間質性肺炎の主な病態は炎症と線維化で、どちらが起きているのか見極めが大切です。気管支鏡を使って炎症なのか線維化なのかを判断し、炎症が主体の方にはステロイドで免疫抑制し、線維化が主体の方には抗線維化薬で治療します。間質性肺炎では、聴診で背中側にバリバリした捻髪音(fine crackles)が特異的に聴こえます。日頃から、積極的に聴診していただけると幸いです。

COPDは高齢男性に多く、タバコの煙などが原因として発症します。以前は、患者さんの生活の質を高める治療方針が基本でしたが、最近は生命予後の改善も期待されるようになりました。主に外来で吸入療法で治療し、感染を契機に呼吸器症状の増悪を認め、急性増悪が起きるケースがよくあり、症状が改善してこない場合は入院加療としています。その際は、リハビリテーションも併用して、自宅へ帰れるように努めています。

肺がんには、画像診断と気管支鏡を使った組織診断を行います。さらに、個別化治療のため遺伝子検査をして原因となる遺伝子異常を調べ、患者さんに合う抗がん剤治療をする選択し提供する方針です。以前、肺がんは小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2つに分類され、治療法が決まっていました。最近は、非小細胞肺がんに多くの遺伝子変異があり、細分類するための免疫染色の染まり具合もさまざまだと分かり、治療法が多岐にわたります。当科では、肺腫瘍を専門とする医師が診療を担当しています。肺がんの初回治療は基本的に入院で行い、2回目からは外来での治療選択も可能です。手術の適応と判断する場合には、呼吸器外科に紹介しています。

地域の先生方には、呼吸器症状が1か月以上続くようであれば何らかの呼吸器疾患が隠れていることを疑い、精査のため紹介していただけるとありがたいです。

呼吸器疾患に関する専門性でサポートを行う

肺は外界の影響を受ける臓器です。また主に心筋細胞からできている心臓や肝細胞からなる肝臓と異なり、単一細胞から成り立つ臓器ではありません。呼吸器疾患の機序は複雑で、明らかになっている知見も、それぞれがつながりにくい難しさがあります。そのため疾患に対し様々な角度からアプローチを行い、生理学、解剖学などの知識を動員し、最終的に良くなるように治療しています。
しかし、なぜ病状が改善しないのか、はっきりしないケースもしばしばあります。簡単に病態が分からないところが呼吸器内科の面白さです。生理学的な要素が大きいことを理解して、患者さんの病態を考えていくことが大切です。

そして、呼吸は生命に直結しています。私たちは治療の中で、上手いタイミングで酸素を導入するようにしています。患者さんの生命を維持するため、在宅酸素療法を導入するタイミングは重要です。もし治療の導入に不安があれば、私たちがリハビリ医と相談しながら設定してお返しすることも可能です。最近は、鼻につける従来型の酸素機器以外に、急性期呼吸不全患者さんに対して流量の多いタイプやマスク型の酸素機器も出てきました。私たちが導入と設定を行ったうえで、在宅酸素のみならず在宅人工呼吸器管理へと進めていき、地域の先生方へお戻ししていけるのではないかと考えています。

垣根のない診療体制づくりに力を尽くす

私は信州大学を卒業したのち、米国ジョンズ・ホプキンズ大学での留学を経て、約30年間、国内の大学で呼吸器内科の研鑽を重ねてきました。その経験を活かし、地域の先生に少しでもお役に立てるよう、肺のレントゲンの読影や診断のツボといった呼吸器内科の知識を分かりやすくお伝えしたいと思います。当院のエリアの先生方に向けてウェブ講演会は開いていますが、コロナ禍も落ち着いたので、小さな集まりで先生方と直接お話しできれば一番です。地域の先生方が開かれる、呼吸器疾患に関する勉強会にも喜んで伺いますので、ぜひ気兼ねなく呼んでいただけると嬉しいです。

今後の抱負は、より多くの外来・入院患者さんを診られる体制づくりを行っていくことです。地域の先生が、当科に患者さんを紹介する際の垣根をなくしていきたいと強く思っています。しかし入院の体制がまだまだ不十分でお断りせざるを得ない状況もあります。現在も入院体制の改善に力を尽くしていますので、これからもお困りの場合はぜひ頼っていただければ幸いです。

お問い合わせ

医療機関からのお問い合わせは、医療連携室で承っております。

受付時間をご確認の上お問い合わせください。

東京医科大学八王子医療センター
総合相談・支援センター医療連携室

TEL: 042-665-5611 (代表)

平日:9時~17時 
第1・3・5週 土曜日:9時~13時
休診日:土曜日(第2・4週)、日曜日、祝日、4月の第3土曜日(大学創立記念日)、年末年始

お問い合わせフォーム

患者様に関するご相談は、お電話でお問い合わせください。

ACCESSアクセス情報

〒193-0998 東京都八王子市館町1163番地

電車・バスでのアクセス

JR高尾駅/京王線高尾駅

高尾駅南口より京王バス3番乗り場(医療センター経由)館ケ丘団地行き「医療センター」下車

JR横浜線/八王子みなみ野駅

無料シャトルバス運行中
シャトルバス時刻表

詳しくはこちら