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消化器内科インタビュー

INTERVIEW

消化器内科 診療科長

北村 勝哉

[専門領域] 膵臓・胆道疾患(膵炎・膵がん・胆道炎・胆道がん)
/ ERCP / EUS / 経皮経肝的診断治療

かかりつけ医との協力で
滞りのない診療を実現する

消化器内科には消化管、肝臓、膵臓・胆道の領域があり、当科では特に内視鏡診療に力を入れています。消化管領域は、上下部内視鏡検査と早期がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を中心に行い、肝臓領域は、肝がんに対するラジオ波焼灼療法・肝動脈化学塞栓療法や食道・胃静脈瘤に対する内視鏡治療を行っています。膵臓・胆道領域は、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)による難易度の高い内視鏡診療を得意とし、東京多摩エリアのみならず神奈川、山梨からも多くの患者さんを受け入れています。膵臓・胆道専門医として20年以上のキャリアを持つ北村科長が2019年に加わり、体制が強化されました。

精度の高い診断を行うために
まずは画像検査を

膵臓・胆道疾患には良性疾患と悪性のがんがあります。良性疾患で多いのは胆管結石です。胆管に石が詰まって胆管炎を起こし、突然腹痛を訴えた患者さんをご紹介いただく場合が多いです。時にはERCPを行った後に、石がとれない、がんかどうかわからないから診断してほしいと紹介されることがありますが、ステント挿入後は診療に支障をきたすことがあります。

例えば、大きな胆管結石を数年にわたって除去できずに結石が多発し、その病院ではチューブのステントを胆管に入れることを繰り返していました。ステント治療の他に結石を溶かす薬剤を投与しており、それらが逆に結石の形成を助長させていたようです。幸い当科でのERCP治療により結石を除去することができ、薬剤の投与を中止しました。
また、胆管にステントを入れた後にご紹介いただいた場合、胆管狭窄の詳細な画像評価ができず、がんか非がんかの診断が難しくなることがあります。処置をせずにそのままの状態でご紹介いただくか、まずはステントを入れる前に造影CTやMRCPといった画像検査でしっかりと評価していただくのがベストです。

内科と外科、救急科が連携し、
昼夜問わず迅速に対応

消化管に関しては、各医療施設での内視鏡検査にて、がんと診断され、ご紹介いただくことが多いです。内視鏡治療適応の場合にESDを行い、外科的な治療が必要であれば消化器外科へ迅速に手術依頼をしています。また、診療に苦慮する消化器疾患に関しては、消化器外科との定期的なカンファレンスにて協議した上で診療方針を決定しています。

さらに当院の救命救急センターは年間1,500件以上の3次救急患者を受け入れ、初期診療から重症者の集中治療も担当しています。夜間帯の消化器疾患は救命科で、日勤帯は当科に引き継ぐというシステムができていますので、救急疾患に関しても対応可能です。がんだけでなく、良性の救急疾患、消化管であれば消化管出血、肝臓では肝炎や食道・胃静脈瘤破裂、膵臓・胆道では膵炎、胆管炎・胆嚢炎も救急対応できます。3次中心で重症度が高い患者さん以外は受け入れてもらえないというイメージを持たれていますが、特に当科では膵臓・胆道領域のERCP・EUS関連手技を年間約1,000件行っており、1次2次レベルの救急疾患も積極的に受け入れています。

早期発見が困難な膵がんの患者が急増

特に最近、消化器系では膵がんが非常に増えています。膵がんは早期発見が難しいため、腹痛や背部痛、体重減少、急激な血糖値の上昇などを認めれば、まずは腹部の超音波検査を行うことが重要です。膵臓に腫瘤や膵管拡張、膵嚢胞などが見つかった場合、膵がんの可能性があるため、造影CTかMRIを撮っていただくのが良いと思います。

膵がんの早期発見には
手遅れになる前に専門医へ

専門ではない開業医の先生が膵がんを診断することはなかなか難しいのが現状です。胃が痛いと訴えて上部内視鏡検査で異常が見つからなかった患者さんが数ヶ月間経過観察され、CT検査を行ってみると膵がんが全身へ転移していたという例もあります。膵がんは生命予後が限られており、「数ヵ月様子を見ましょう」といった経過観察は非常に危険です。患者さんの症状で膵臓が怪しいと思った時点で、もしくはCA19-9などの腫瘍マーカーが上がっていた場合、すぐにご紹介いただいて結構です。

最近では、全国の地域医療機関が中心となって「膵がん早期発見プロジェクト」を立ち上げ、呼びかけを行っています。八王子エリアでも、かかりつけ医に協力を要請し、膵がんを疑う所見があれば当院のような膵がんの専門医療機関にすぐに繋げるような取り組みを検討しています。

超音波内視鏡(EUS)の
最大のメリットは病理診断

ERCPもそうですが、消化器分野の内視鏡の進歩はめざましく、とりわけEUSはこの20年でかなり進化を遂げています。EUSは内視鏡の先端に超音波プローブがついていて、胃や十二指腸などの壁の内側から、通常の内視鏡では見ることができない膵臓や胆のう、胆管などを映し出して観察する検査法です。この検査の最大のメリットは、膵臓の腫瘤が見つかった場合、胃や十二指腸から針を穿刺し、直接その検体を採取することで病理診断ができることです。このEUS下穿刺生検法(EUS-FNB)による膵がんの診断能は約90%と高いことが報告されています。

CTやMRIは低侵襲ですが、腫瘤の存在診断はできても病理診断はできません。近年、病理診断が重要視される中でEUSが不可欠になっています。当科は、十分なEUSの診療実績がありますのでぜひご紹介ください。

病理診断ありきの治療がスタンダードに

EUS-FNBを行うことで穿刺ルートからがんが飛び散り(播種)、その後の手術に支障をきたすのではないかと懸念されることがあります。確かに播種の可能性は数パーセントあり、ゼロではありません。しかし、近年、切除可能膵がんに対して術前に化学療法が行われるようになり、病理診断が必要となっています。また、良性の自己免疫性膵炎というがんとの鑑別に苦慮する疾患があるのですが、がんを疑って手術をした結果、がんではなかったという報告もされています。外科の先生も病理診断なく手術することには慎重になっていますので、病理検査にてがんと診断された後に手術を行うことが一般的です。さらに、最近では病理検体を用いた遺伝子検査が行われるようになり、病理診断ありきの診療がスタンダードになっています。
当院はがん中核拠点病院の連携施設にも指定されており、当科で化学療法を行う患者さんが増えています。臨床腫瘍科と連携して遺伝学的な検査もできる施設であり、今後この領域の発展が期待されています。

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