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脳神経外科インタビュー

INTERVIEW

脳神経外科 診療科長

神保 洋之

[専門領域] 脳卒中の外科 / 脳腫瘍 / 頭蓋底外科脊椎
/ 脊髄外科

脳卒中、脳腫瘍、てんかん治療のエキスパートによる
診療科の枠に囚われない
高度なチーム医療の実践

八王子医療センターは143万人の南多摩地区の中核病院であり、第3次救急医療指定病院として急性期患者を受け入れています。中でも同院の脳神経外科は脳卒中などの緊急性の高い疾患に対して、複数のチームによる素早く対応可能な体制づくりを実現しています。脳腫瘍、頭部外傷、脊椎・脊髄疾患、てんかんなどの専門性の高い外科手術の提供だけでなく、関連する診療科と密に連携をとりながら、専門家による精度の高い検査、診断を行い、高度な医療を実践しています。

急性期脳梗塞に対する対応

八王子市には、急性期脳卒中治療にあたる3つの一次脳卒中センターがあり、この3施設を中心に八王子市民56万人の急性期医療を担っています。当科では患者数の多い脳梗塞の初期治療で不可欠なt-PA静脈注射はもちろん、近年ではカテーテルを血管内に挿入して治療する機械的血栓回収療法も成果を上げています。救命センター・脳神経内科と連携し、緊急時に備えています。

脳梗塞は、すでに死滅している核(コア)の組織と、半死状態のペナンブラという組織の比率によって血栓回収ができるかどうか決まります。ある程度、時間で軸が決められていますが、当院は2022年にコアとペナンブラの体積をコンピューターで測定するソフトを導入して、質においてもよりレベルの高い血管内治療を行うことが可能となりました。

血管内治療とバイパスのハイブリッドな治療も可能

脳卒中の治療はクリッピングやバイパス手術・内膜剥離術を行う外科治療とコイリング、機械的血栓回収やステント留置術を行う(血管内治療)の二つの大きな治療法があります。もやもや病や難しい脳動脈瘤・くも膜下出血に対してはバイパス術を加えた血管外科治療が行われます。最新の脳卒中の学会データによると血管内手術が増加してきています。
当科でも血管内治療だけでは対応できない症例には外科的なバイパス術を組み合わせる高度な治療を行なっています。

ERの強化体制により専門チームが迅速に対応

急性期の脳卒中は救急車で患者さんが搬送されます。当院はER体制になっていますので、救急隊経由で連絡をいただければ、ERのチームが初動、初診を行い、ERの血管内治療のチームと連動して脳外科のチームが動きます。心臓の評価が必要な場合は、循環器内科の医師に連絡が入ります。このように脳外科のスタッフだけではなく、救命救急と、神経内科、内科といった複数の診療科の専門医とコミュニケーションを取り、チームで迅速に治療にあたることができるのも、総合病院としての当院の大きな特長であると思います。

術中の脳波を測定、てんかんの原因となる脳腫瘍を摘出

脳腫瘍は手術だけでなく、放射線治療や化学療法にも対応します。転移性の脳腫瘍では全脳や局所の放射線治療以外にも、小さな転移であれば定位放射線治療も行います。ガンマナイフはありませんが、それに準じた治療を行います。転移性脳腫瘍の診断には、MRIの次に必要な各医学検査やPET-CTといった、精度の高い検査を行い、原発巣を評価します。
脳腫瘍の摘出時に、画像支援手術(ナビゲーション等)に加えて術中の脳波を測定し、てんかんの原因となる腫瘍の部位にフォーカスして摘出するなど、腫瘍の治療と組み合わせて効果的なてんかんの外科治療を行っています。

てんかん専門医による高齢者てんかんの診断にも注力

高齢化により高齢者てんかんが増える中で、てんかんがベースにあって、認知症の症状や意識消失の原因となっている方も結構いらっしゃいます。認知症患者さんの中で、高齢者てんかんが原因となっている場合は見逃されることが多く、当院のような専門の施設でないと判別が難しいため、当センターで多くの患者さんを診断しています。
てんかんを診断するには最初からてんかんファーストの診断ではなく、1つ1つを除外していき、脳波検査を組み合わせててんかんと診断されるのが一般的です。高齢者で失神があった場合は原因が心臓なのかてんかんなのかを判断する必要があり、循環器内科専門医とてんかん専門医の連携が必要となります。時には当院の高齢診療科の認知症専門医からてんかんかどうか調べてほしいと依頼されることもあります。
当院のてんかんセンターは、救命救急センターを抱えているだけでなく、長時間ビデオ脳波記録設備を備え、薬の治療とてんかんの外科的治療をトータルで行う、地域随一のてんかん専門施設です。

整形外科との密な連携による脊髄・脊椎疾患へのアプローチ

患者さんがかかりつけのクリニックで麻痺やてんかん、頭痛といった初期症状を訴えた場合、まずはMRIやCT等の検査を行うために脳外科の専門施設として当科に紹介されることが多いのですが、首が痛いとか腰が痛いとか、手足の痺れがあるなどの症状がある場合は、最初に整形外科が中心に診察を行います。
このような症状の原因の一つとして脊髄腫瘍や脊髄血管奇形があり、これらは、脊髄を覆っている硬膜という膜の内側の疾患で、整形外科医と脳外科医が一緒に執刀します。このように診療科間で連携して治療にあたっています。

神経内視鏡手術にも対応

神経内視鏡を使った低侵襲の手術が進歩してきています。脳腫瘍や脳室内出血で、閉塞性水頭症(脳の髄液循環に障害を起こし、脳室が拡大する)を生じた場合に、第三脳室底を開窓して水頭症を解除します。脳内・あるいは脳室内出血を除去したり、脳腫瘍の生検などを開頭しないで低侵襲で行います。当院では、神経内視鏡専門医のもとで積極的に治療が行われています。

バクロフェン髄注療法(ITB療法)を行う施設

痙縮がひどく生活に支障をきたす場合には、バクロフェンを脊髄腔内に投与する髄腔内バクロフェン投与(ITB)療法をする方もいらっしゃいます。現時点でその治療ができるのは八王子、南多摩地域では当院だけです。

院内のコミュニケーションの高さで診療科の壁がない

MRIを撮っても器質的異常がなく、原因がわからない場合は、内科的な疾患の評価を脳神経内科にお願いし、連携して適切に対応しています。放射線の専門医ともしっかり連携が取れていて、横のつながりがとてもスムーズなのが、当院の大きな特徴です。地域の先生方には、対象疾患や院内の体制を気にすることなく、当科が窓口となり、責任を持って対応しますので、まずは安心してご相談いただければと思います。

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